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米国の送金税でケニアの仕送りが17年ぶり減少へ

米国の送金税でケニアの仕送りが17年ぶり減少へ

ニュースの概要

ケニアの海外送金額が、2026年に2009年以来初めて前年を下回る公算が大きくなっています。海外在住ケニア人からの送金は2025年に過去最高の50億4,000万ドルへ達し、同国最大の外貨の稼ぎ手でした。ところが2026年1〜9月の合計は37億7,000万ドルで、前年同期比0.2%減にとどまりました。背景にあるのは、米国で新たに始まった送金への課税と、イラン戦争がもたらした中東の経済・雇用環境の悪化です。送金にかかる費用が上がり、働き口も細ることで、故郷へ送れる金額が目減りしています。わずか0.2%の減少ですが、17年続いた右肩上がりが止まったという意味は小さくありません。

引用元: 米国の新たな送金税と中東情勢がケニアの海外送金を圧迫(Bloomberg)

分析・見解

0.2%減は小さな数字でも、17年ぶりの転換点

数字だけ見れば、37億7,000万ドルという水準は前年とほぼ同じです。それでも重みがあります。ケニアの送金は2009年以降、リーマン危機後の回復期から新型コロナ禍までほぼ一貫して伸びてきました。コロナ禍でさえ、各国の失業が増えたのに送金は粘りました。家族を支える仕送りは景気が悪くても削りにくく、景気に強い資金と見られてきたのです。その性質が崩れ始めたことが、今回の本質です。

送金税は、手数料と違って利用者が避けにくい

米国の送金課税は、送金のたびに一定割合が差し引かれる仕組みです。移民労働者の多くは少額を月に何度も送ります。件数が多いほど、税の負担は積み上がります。

怖いのは、税が手数料の上に重なる点です。世界銀行の統計では、200ドルを送る平均コストは世界で6%前後です。ここに税が加われば、実質負担は一段と重くなります。すると送り手は、送る回数を減らして一回の額を増やしたり、現金の手渡しや知人経由といった記録に残らない経路へ流れたりします。その分は統計から消えます。つまり公式の送金額の減少には、実際の減少と、見えなくなった分の両方が混じっている可能性があります。

中東の戦争が、湾岸で働く人の収入を直撃している

ケニア人の海外就労先は、米国や英国だけではありません。湾岸諸国にも家事労働や警備、接客で多くの人が働いています。イラン戦争で域内の経済活動が冷え込めば、まず削られるのは雇用の弱い立場にある外国人労働者です。

送金の元手は、海外で働く人の給料です。税で目減りするうえ、給料そのものが減る。この二重の圧力が、送金額の頭打ちとして表れています。

ケニア経済が抱える外貨のもろさ

送金は、茶や園芸作物、観光を上回る外貨の稼ぎ頭です。これが細ると、輸入の支払いに使うドルが不足しやすくなります。通貨シリングの下落や、対外債務の返済負担の増加に直結します。

ナイジェリアやエジプトなど、送金に頼る他の新興国でも似た構図があります。エジプトは2023年前後、公式為替と闇市場の差が広がって送金が公式経路から逃げました。ケニアも、課税と為替の歪みが重なれば同じ道をたどるおそれがあります。ただしケニアは携帯電話送金のM-Pesaが普及しており、記録に残る経路を保ちやすい強みがあります。ここが分かれ道になります。

ビジネスへの影響

送金サービス事業者は価格より総額の透明性で勝負が決まる

税が加わる局面では、利用者は手数料と為替差益と税の合計でサービスを比べます。表示手数料を安く見せて、為替レートで稼ぐ手法は通用しにくくなります。受取額を送金前に一目で示す画面づくりが、選ばれる条件になります。

また、少額を高頻度で送る客が多いなら、まとめ送金の機能や定額プランが有効です。税の負担が件数に比例するなら、回数を減らす設計そのものが顧客の得になります。

経路が地下に潜るリスクを、コンプライアンスの視点で見る

公式経路のコストが上がると、非公式な送金業者へ流れる動きが強まります。これは利用者の保護だけでなく、マネーロンダリング対策の面でも問題です。金融機関や送金事業者は、取引の急な減少や送金パターンの変化を早期のシグナルとして監視する価値があります。

新興国に拠点や取引先を持つ企業が今すぐ点検すべきこと

ケニアなど送金に依存する国で事業をする企業は、現地の消費力が下がる可能性を織り込む必要があります。仕送りで暮らす世帯が多い地域では、消費財やモバイル決済の売上が送金の増減に連動しやすいためです。価格帯の見直しや分割払いの導入を、数字が悪化する前に準備しておくのが現実的です。

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